“PORTRAIT IN LANDSCAPE” MASAHIRO SAMBE

二年前、父が亡くなった際に慌てて遺影の準備をした。
妹の結婚式で微笑んでいる写真を選んだのだが、他所行きのせいか時間が経つにつれてその写真の父と、僕の記憶の中の父との差異が違和感になってきた。
思い出すのはなんてことない見慣れた空間に父が停む風景。
たとえ本人が写っていなくてもその風景を忘れない限り、僕の記憶の中で心地よく父が在り続ける気がした。

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この「PORTRAIT IN LANDSCAPE」では写真家、三部正博が近年撮りためているライフワーク「ランドスケープ」の延長として、写真家自身を含めた4組の遺影を展示いたします。
このブロジェクトで目的とするのは、「遺影」のあり方をより深い観点から考察することです。一見するとただのなんてことない風景写真でも関わりのある人にとっては思い出や意味を成します。写真を見る人によって受け止め方や印象が全く変わってくること、潜在意識を刺激してより深く思いを馳せる機会を表現しています。

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三部正博 MASAHIRO SAMBE

写真家。1983年、東京都生まれ。
東京ビジュアルアーツ専門学校を経て、写真家泊昭雄氏に師事し、2006年に独立。音楽、ファッションに加え、美術、建築の分野においてもコミッションワークを手がける。
2015年頃より人為的なものと自然のコンポジットを超えて働きかける風景をおさめたパーソナルワーク「landscape」を撮り続けている。
近年の主な展示に「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」（広島市現代美術館、東京オペラシティ アートギャラリー、熊本市現代美術館）がある。