百人一首は、かるた遊びや国語の授業を通して、広く親しまれてきました。その起源は約800年前の鎌倉時代にさかのぼり、藤原定家(ふじわらのていか/1162〜1241)が百人の歌人の秀歌を撰んだことに始まります。定家の別荘があったとされる小倉山のふもとにある当館では、このたび、歌人の姿を描いた絵画や、百人一首をはじめとする和歌をしたためた書を展示し、絵と書の双方から百人一首の魅力を紹介する企画展を開催します。
江戸時代中期に制作されたと考えられる初公開の《百人一首画帖》は、歌仙たちの表情を彩り豊かに描き出した秀作です。また、長谷川宗圜(はせがわそうえん)の《百人一首手鑑》や清原雪信(きよはらゆきのぶ)の《百人一首画帖》など、歌人を描いた作品も数多く展示しております。さらに、藤原定家直筆と伝わる《小倉色紙 朝ほらけ》や、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ/1558〜1637)の《古今集和歌巻》など、百人一首に加え『古今和歌集』など和歌をしたためた書の名品、円山応挙(まるやまおうきょ/1733〜1795) 《富士・吉野・龍田》や尾形乾山(おがたけんざん/1663〜1743) 《吉野山図》のように、一つの画面に和歌とそれにちなんだ風景を描いた作品も展示します。
また、2021年から当館を会場に開催している恒例の競技かるた大会「ちはやふる小倉山杯」は、今年で7回目を迎え、本展の会期中に観覧いただけます。展覧会と競技かるたの両方を通じて、百人一首の魅力をより一層体感できる機会となっております。